あっ、あ、あ……と、かすれる様な声が続いた。
 周りには静寂な森。もはや妖精を犯しぬいた植物の姿も無い。
 森の中、青妖精の腹がぼこぼこと変形している。
 見るも無惨で、その癖どこか惹きつけて止まない異様。
 羊水ではなく、ぬらぬらと粘る愛液が膣から零れ出る。
 くちくちと音を立てて膣口が開閉する。
 その奥底、薄暗い膣内に、碧色の植物の姿がある。
 親よりは若く、短く、何よりも弾力に欠けたそれは、触手のように暴れ回る。
 濡れそぼった壁が擦られ、削られ、そして快感を湧き上がらせる。
 植物の動きと合わせる様にして、妖精の背筋が跳ねた。
 その姿は陸に上げられた魚を連想させる。
 快感による呼吸困難。無酸素運動。
 既に思考を放棄している筈の妖精は、なお一層に正気から離れていく。
 うつろな脳には絶頂に達した光の眩しさと、自らが子を生(な)しているという、それだけを考えている。
 植物が股の間から極僅かに姿を見せた。
 外の空気に触れていない、枝豆の薄皮のような色。
 グニャグニャのそれが膣を撫でさすり、ゆっくりとその全てを出し始める。
 まず尿口に触れた。

「ひぐっ!」

 小さな穴に先だけを突いて、間違ったと更に姿を見せる。
 徐々に、柔軟性に富んだ膣口が開ききる。
 ぎちぎちと音を立てそうなそれが、垂れ流しになった愛液によって滑る。
 結局、大した障害もなく、植物はその半身を空気に晒す事となった。
 振動……いや、震動と言った方が良いか。
 余りにも激しい動きだった。
 植物が自らの誕生を誇示する様に、明らかに身を震わせた。

「ひぎぃぃいいいいいいい!!」

 堪らなかったのは青妖精だ。
 かつてない衝撃、かつてない振動。
 ギリギリの淵で踏み止まっていた理性が崩壊していく。
 目を見開き、口から泡を吹きながら、視界一杯に飛び散る火花を直視する。
 痛みに似た快感の奔流。
 絶頂の中で更に絶頂する。気が狂う悦楽。
 全身の筋肉という筋肉を硬直させ、糸が切れた様に脱力する。








 目が焦点を結ぶ事は無く。

 しかし口元には確かな笑み。

 それが開放による物か、絶頂による物か……既に本人ですら理解する事は出来なかった。


 出産の用を果たし、既に見向きもされなくなった青妖精は、壊れた体、壊れた心で――
 ようやく訪れた安らぎに、一人静かに笑っていた。
 

 そして植物は新たな獲物を捜す。








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SSを書いてくださったのはトマト伯爵さん
今回色々とワガママを言ってしまってごめんなさいです orz
前回よりさらに鬼畜っぷりが増幅してますが 描いてて楽しかったデス(ぇー